うつ病になると、視野が極端に狭くなってしまいます。
そんなときに、自分のことを客観的に見なさいと言われても無理ですよね。
しかし、認知の歪みを治していくためには重要な取り組みです。
休養を充分に取って心身共に活力が戻ってきたら、自分のことを客観的に見る時間を設けてみましょう。
私は、リワークで「メタ認知」という考え方を教わることで、自分のことや病気のことを客観的に見られるようになりました。
「メタ認知」とは、自己の認知のあり方について、俯瞰的な視点で認知することです。
自分が何かしているところを、空から眺めているようなイメージですね。
うつ病になると、うつ病独特の考え方(情報処理)をしてしまうので、そのことを俯瞰的な視点で認識しましょうということです。
ちなみに、うつ病独特の考え方(情報処理)については、過去に「26個の思考エラー」としてまとめていますので、そちらもご参照ください。
うつ病になると、「考え方が偏り」が発生します。
その一つがメンタルフィルターです。
メンタルフィルターとは、マイナス面に集中して物事を考えてしまうことです。
例えば、透き通った水に、たった一滴のインクを垂らしただけで全体が濁ってしまうことに似ています。
仕事でも、たった一つのミスでクヨクヨしてしまうことがありませんか?
そんなときは、役に立つ考え方に切り替えていきましょう。
<直球>
他の仕事は上手くいっている。トータルでは大成功だ!
<変化球>
たまたまミスが目立ってしまっただけ。
誰も気づかないで流れていくこともある。
私は運が悪かっただけだ。
常に直球勝負だと、心が疲れてしまうこともあります。
変化球の例のような、ちょっとだけズルい考え方も織り交ぜましょう。
自分はいつも失敗ばかりしている。
うつ病になると、自分のことを責め続けてしまいます。
そこから抜け出すためには、視点を切り替えることが重要です。
まず、「人格」と「行動」は切り分けましょう。
確かにあなたはミスを犯した(行動)かもしれません。
しかし、そのことが、あなたの人格を貶めることはありません。
次に、客観的な視点で考えてみましょう。
①イメージではなく具体的な言葉で表す。
漠然と、「自分は仕事でミスばかり繰り返す無能な人間だ」と考えてはいけません。
何が出来て、何が出来ないのか。
具体的にどのようなミスが発生したのか。
しっかりと言葉で表しましょう。
それは、ただの事実です。
あなたの人格を否定するものではありません。
②友達が自分と同じ境遇だったら、どんな言葉をかける?
「ミスなんて、誰にでもあるよ!気にしない!」
「完璧な人間なんていないから、クヨクヨするな!」
「所詮仕事でしょ!?そんなに本気になってどうするの?」
うつ病になる人の特徴として、自分に厳しく他人に優しいタイプの人が多いという実感がありますので、きっと上記のような優しい言葉が出てくるはずです。
③みんなは私と同じことを考える?
世の中に完璧な人間なんていません。
仕事なんて、100点満点中60点くらいの仕上がりで平然と流れていることも多いのです。
私の経験談ですが、人から仕事を引き継ぐと、ちょっと怖くなるくらいの誤字脱字や計算ミス、処理忘れを発見してしまいます。
それでも世の中は回っているし、歴代の担当者は今日も元気に仕事をしています。
つまり、「みんな」は、ちょっとしたミスなんて全く気にしていないのです。
(むしろ気付いていない?)
なんか自分だけ落ち込んでいることが、馬鹿らしく思えてきませんか?
メタ認知についての知識があっても、実践で生かせなければ意味がありません。
何度も復習して、日常生活や仕事に応用できるよう訓練しましょう。
試行錯誤の連続になると思いますが、次第に慣れてくるはずです。
リワークでは、メタ認知の授業は8回で構成されていましたので、シリーズ化して続きを書いていきたいと思います。
以上