早いもので今年も残すところあと二日ですね。
年末の行事では、「年忘れ」なんてことを言いますが、嫌なこと以外も忘れてしまっては大変ですよね。
例えば、家族との約束事や仕事の予定などが記憶から抜け落ちてしまうと生活に支障をきたします。
しかしながら、うつ病等の精神疾患を患うと、病気の症状として記憶力が低下することがあるのです。
そのことを知らないと、「記憶力の悪い無能な人間である」と自分自身を責めることになってしまいます。
「記憶力の低下」を「うつ病の症状」として俯瞰的に認知しましょう。
そうすれば、自己嫌悪感を緩めることも、記憶力低下の対策を講じることもできます。
ネガティブな考えが繰り返されることを、「反芻」と表現します。
反芻ばかりしていると、すべての注意力が、そのことに向けられてしまいます。
そのような状況では、大切なことに注意力を向ける余裕は残っていません。
なぜなら、集中力のスポットライトが、自分の心の中だけに当たっている状態だからです。
このように「反芻」によって集中力が弱まると、物事を詳細に記憶することが困難になります。
一つ大きな心配事があると、話を聞くときも文章を読むときも、うわの空になってしまうことはありますよね。
記憶力の低下が悪化すると、数分前のことまで忘れてしまうので、アルツハイマー病になってしまったのかと不安になります。
しかし、うつ病による記憶力の低下は、アルツハイマー病とは別物です。
正確に言えば、「忘れてしまう」のではなく、頭に入ってくる情報量が減少しているのです。
うつ病で生じやすい意欲減退、無気力、活力低下によって、入ってくる情報量が減少するということです。
ネガティブな考えを繰り返すこと(反芻)や、うつ病自体が改善すれば、記憶力は自然と回復していきます。
うつ病になると、嫌なことは、むしろ健康なとき以上に覚えていられませんか?
実は、記憶力が低下しているのではなく、記憶できることと思い出せることに偏りが生じているだけかもしれません。
嫌なことばかりが目に付いて、そればかりを記憶してしまったり、過去の嫌な出来事を思い出しやすくなったりすることはありませんか?
そんなときは、灰色のメガネを通して世の中を見てしまっていることが考えられます。
記憶力の低下は、思考フィルターとも関連しているのです。
記憶力の低下を俯瞰的に認知できたとしても、すぐに回復するわけではありません。
じっくりと病気の治療に専念し、徐々に調子を取り戻していきましょう。
記憶力が回復するまでは、自分の脳みそには頼らず、ツールを活用して大切なことを忘れないようにしましょう。
スマートフォンのカレンダーに予定を登録しておくことは、有効な手段です。
お知らせ機能もついているので、カレンダーを見ること自体を忘れても思い出すことができます。
もう少しアナログな方法は、毎日必ず見るところにメモ帳を貼っておくことです。
冷蔵庫や洗面所の鏡などは毎朝見るので、外出前の持ち物チェックにも最適ですね。
この手法は、復職後の仕事にも応用できます。
過去の記事に書いていますので、ご参照ください。
繰り返しますが「記憶力の低下」は、うつ病の症状です。
風邪を引いて咳をするたびに自己嫌悪に陥る人は、ほとんどいませんよね?
「記憶力の低下」も病気の症状なのですから、ありのままに受け入れていいのです。
そして、症状が出たら、療養することが大切です。
「嫌なことばかり考えてしまい、大切なことが何も覚えられない。」
そんなときは、肩の力を抜いて休みましょう。
以上