うつ病になると、うつ病独特の考え方(情報処理)をしてしまいます。
一人で悩んでいると、そんなことにも気づかず、気持ちは沈んでいく一方です。
私は、リワークの「メタ認知」というプログラムの中で、うつ病独特の考え方をしている自分を俯瞰的(※)に見ることを教わりました。
(※)空から自分を眺めているような情景をイメージしてみてください。
自分を俯瞰的に見るためには、「うつ病独特の考え方」について知ることが必要です。
今回は、「考え方の偏り part2」として、「べき思考」について解説します。
「べき思考」は、自分自身をうつ状態に追い込むきっかけになりやすいので、要注意です。
うつ病の治療においては、自分の「べき思考」と向き合うことは避けて通れない道であり、過去にも2回ほど当ブログの記事で言及しています。
「私は、いつもちゃんとしているべきだ。」
「私は、いつも機転が利かなければならない。」
「私は、常に仕事を完璧にこなすべきだ。」
このように「べき思考」は、過度に高い水準で、何があっても自分をその基準に合わせようとします。
「べき思考」は、絶対悪ではありません。
高い成果を手に入れる原動力になることもあります。
だから、「べき思考」の利益とリスクを正しく理解して、上手に付き合っていくことが大切なのです。
①「べき思考」の利益
・高い成果を手に入れ、周囲からポジティブな反応(称賛etc)を得られる。
・目に見える報酬(ex:給料、昇進、スキルアップ)が手に入る可能性が高まる。
②「べき思考」のリスク
・目標を達成できず、欲求不満になる。
・常に完璧さを目指すことで、大量のエネルギーを消耗してしまう。
・長期間、キャパを超えた負担を背負うことで、次第に能力が弱まる。
「べき思考」が強すぎると、いつかはエネルギー切れを起こしてしまいます。
うつ病は、心のエネルギー切れとも言われています。
たとえ高い成果や報酬を手に入れても、精神を病んでしまっては意味がありません。
逆に、「べき思考」が皆無だったらどうでしょうか?
運が良ければ、気楽で幸せな人生が一生続くかもしれません。
しかし、得られる成果や報酬は少なくなる可能性が高く、そのことで苦労することも考えられます。
このように、「べき思考」は強すぎても弱すぎてもリスクとなるため、ちょうど良いバランスを保つことが大切なのです。
自分の価値観や能力をありのままに受け入れて、人生を豊かにする絶妙のバランスを常に調整するようにしましょう。
イメージ図で表しましたが、点線の位置を柔軟に左右へ動かして、最も心地が良いと感じる場所を見つけてください。
難しそうに感じるかもしれませんが、この記事のテーマである「メタ認知」を実践することで、心地が良くて成果もそれなりに手に入る絶妙なバランスポイントがきっと見つかります。
以上